【体験談】溜まっていた音がことばになって花開いた日

私たち家族は、現在小2の娘、年長の息子の3人でヒッポの活動をしています。

娘がまだ生後4か月、ゴロゴロ床に寝ころんでいるだけのときにヒッポのことを知り、
「あ!私がやりたかったことはこれだ!」と直感しました。

当時の私は育休中で、日中ほとんど人と接する機会もなく、たまに荷物をもってやってくる宅配業者さんとのおしゃべりが楽しみなほど。

それがヒッポに入ると同世代のママたちだけでなく、自分の父母や祖父祖母ほどの年齢の方から、普段めったに出会うことのない高校生、大学生、そして我が子よりちょっと大きいくらいの子どもたちまで、いろんな人と触れ合う機会ができて、自分の世界が一気に広がりました。そしてその広がりは国境も超えました。

韓国語がグッと近くなったホームステイ受け入れ

ホームステイの受け入れの機会がたくさんあるヒッポ。
我が家でもこれまでいろいろな国からのゲストをたくさん受け入れてきました。

その中でも特に、韓国から来た大学生・Yちゃんを受け入れたときの子どもたちの反応が驚きだったのでご紹介します。

娘がYちゃんに日本のお金を紹介している様子

普段子どもたちは家でいろんな国のことばの音源を流している中で暮らしているので、娘のMちゃんは小さい頃から少しずつマネっこして歌う(ことばを聴こえたままマネして言うことをヒッポでは「ことばを歌う」といいます)ようになっていて、特に韓国語のとある場面は最初から最後までスラスラと歌えるようになっていました。それは、彼女にとってはプリキュアの歌の歌を歌うのと同じ感覚のようで、本当に「ことば」を「歌って」いました。

息子のTちゃんに関しては、まだ歌えないのか、ただ恥ずかしいだけなのか?この年齢独特のプライド?があるのか、これまで歌ったことはほとんどありませんでした。

子供達がそんな様子の頃、Yちゃんが我が家へホームステイにやってきました。
私がYちゃんと韓国語で話していると、「こまうぉ~」「みやね~」「あんでよ~」などはその意味も私たちのやりとりから掴んだようで、娘自身もYちゃんとお話するときにたくさん口にしていました。
あ~今までただ「歌って」いるだけだけだったけど、その音がことばとして人に向かって使えるようになったんだな~と成長を感じることができました。

帰国後に、娘が気づいたこと

さらに驚いたのは、Yちゃんが帰国した後のことです。

私が何気なく「MちゃんがYちゃんによく言ってた『こまうぉ』ってヒッポの音源にも出て来るんだよ」と言うと、その言葉に娘は目をまん丸にして「え?そうなん??どこどこ?」と興味津々に聞いてきたのです。

そこで二人で一緒にいつも歌っているあの場面を最初から歌ってみました。

そして「こまうぉ」が出てくるところまで歌ったとき、『あ!ほんとだ!』と気づいた娘。

そして続けて、「Mちゃんが歌ってたやつって意味があったんだね~。ってことはさあ、あの音源から聞こえる音には全部意味があるってこと??」と言ったのです。

それを聞いて私はびっくりしました。
子どもは韓国語でも英語でも何語でも、初めは意味がわからずマネっこしているんだと思っていました。
でも実際には、意味があるとすら思っておらず、本当に聴こえた音をただただマネっこしているだけなんだ、ということに気づかされたのです。赤ちゃんの言語習得のプロセスとは頭ではわかっていたけど、本当の姿は私たち大人の想像を超えていました。

「音」だったものに体験や相手の顔が重なると・・・

よく大人より子どもの方が新しい言語の習得が早いと思われがちだけど、本当は大人と子どもで能力に差があるわけではなく、大人の方が間違えたらどうしよう、とか完璧に言えるようになってから、とか意味もわからない音を口に出して言うのは結構勇気がいるもので、そんな思いが邪魔をしているようです。

子どもたちは意味がわかるとかわからないとか、そんなレベルを超えて、とにかく聞こえてきたものを素直にマネをする。そしていざそのことばが通じる人が目の前に現れたとき、いつものように口に出して言ってみたら通じた!その喜びが自信となって言語の習得を加速させているのかな、と思いました。

さらに普段全く歌おうとしない息子のTちゃんですが、Yちゃんのステイ期間中は、お風呂場から韓国語を歌っている声が聞こえてきました。「え?!Tちゃんもこんなに歌えるんだ?!」私はそのことに本当に驚きました。

歌えないんじゃない。Tちゃんの中にも確実に音は溜まっていたんだ。家の中でYちゃんを真ん中にたくさん聞こえてくる韓国語が、彼の口から無意識に韓国語を引き出したのかなあ。

今回のYちゃんの受け入れをきっかけに、子どもたちの成長に気づくことができました。

今私には、受け入れで繋がった娘、息子、友だち、お母さん、お父さんのような家族が世界中にいます。これからもヒッポで子どもたちの世界も、そして私の世界ももっともっと広げて、親子で成長していきたいです。

Yちゃんと一緒に

(N・Rさん/広島県)