【高校留学レポート-メキシコ】メキシコで学んだ「日本でもできる社会貢献」

友人たちと肩を組む坂井さん(真ん中)

坂井瑞希(さかいみずき)

留学時:高校1年生

留学先:メキシコ

留学期間:2018年7月〜2019年6月

 私は11か月ほどメキシコに留学しました。
幼いころからヒッポファミリークラブの国際交流を通じてたくさんの外国人にあってきました。その中で、メキシコ人の性格や考え方がとても魅力的で、メキシコについて調べていくうちに惹かれ、メキシコへ行くことを決めました。

 メキシコは、先進国でも発展途上国でもない、「中進国」。
公共交通機関や電気、水等は通っていても、ガタガタの地面や、汚い公共トイレ、利用者の多い場所でもスロープやエスカレーターはない、という感じで、住めるけど少し不便というのが、メキシコに着いた当初の印象でした。
 私には軽い身体障害を持つ妹と、つい数年前までベビーカーに乗っていた弟がいることもあって、体の不自由な方やお年寄りはメキシコでは苦労するだろう、と思いました。
 調べてみると、日本は全人口の約3.5%の方が身体に障害を持っているのに対して、メキシコは倍である約7%の方が身体に障害を持っていることが分かりました。街をぱっと見回しただけでもその多さを感じることができるほどでした。
それにも関わらず、地面がガタガタだったり不便さが多く残るのがこの国の現状です。

 しかし、そんな国だからこそ学ぶことがたくさんありました。

メキシコの街並み

メキシコの「当たり前」に気づく

 ある日、私は手続きのため、ホスト家族と現地の高校へ電車で向かっていました。駅の階段を上っていたところ、2、3人の中年男性が車椅子に乗った男性をなんと車椅子ごと抱えて上って行きました。
日本で、ベビーカーを持つことはあったのですが、車椅子(しかも乗っている人ごと)を持つどころか、他の人が手伝うために持っているのを見たことすらなかったので、本当にびっくりしました。しかも、彼らはたまたまその場に居合わせただけで、みんな他人同士だったのです。

 別の日、同じように駅の階段を上っていたら、中年の女性が重たそうな荷物を持って階段を上っていました。恥ずかしいことに私はそれを見ても重そうだな、くらいにしか思いませんでした。けれど、それを見たその後ろにいた男性は、談笑しながら当たり前のように荷物を支えていたのです。

 また別の日、小型バスに乗っていたら、杖をつきながら乗ってきたお年寄りの女性に、ドアの近くに座っていた女性が手を伸ばし支えてあげていました。降りる時も同様に手を伸ばしていましたが、もちろんこのお二人に面識はないようでした。

 こういった事が、メキシコではごく当たり前に行われています。
だから、エレベーターが無くても階段の前で困っている車椅子の方を見た事がなく(困る前に声をかけて手伝うため)、お年寄りや子連れのお母さんなどに席を譲ることは当たり前というよりも、むしろ義務づけられているんじゃないかと思うほど、全ての人が譲っていました。

日本でできる、身近な社会貢献

 今、世界は、そして日本は、様々な問題を抱えています。
それらの問題にたいして私たちができることは、募金、物資の寄付、ボランティア、勉強、など様々であり、国レベルで改善すべきものもあると思います。

 しかし、私はもっと身近なもので社会貢献できると、メキシコで生活して気づきました。
より簡単に、日本人の約⒊5%(約436万人)(妊婦さんや赤ちゃん連れのお母さん、お年寄りなどを含めるともっと多くの人がいると思います)が過ごしやすくなり、助けになる方法があると思います。

 まずはメキシコ人のように、公共交通機関でお年寄りや赤ちゃんを抱いているお母さんに席を譲ったり、困っている人に声をかけるのはどうでしょうか。
それを難しいと感じる人は、はじめは家族や親戚、友人など、身近な人たちの荷物を持ったり、段差で手を差し伸べたりすることから始めていけばいいのではないでしょうか。

 小さなことにも思えますが、その小さな勇気を出すことで、助け合いが当たり前の社会になり、それがやがて大きな社会貢献へと繋がるはずだと、私は信じています。